「熱い エモい 尊い 熱い エモい 尊い」

 (2019 0927)



*[アニメ]エモくて尊い『ゆりゆり2』発売


宣伝文句は大仰ですが、実際の中身は、
「オリジナルキャラによる、桜Trickみたいな話の短編集」
という感じです。

流れとしては、大したことの無いトラブルが解決して、
ぬるい両思いに収束する、という、なもり氏黄金のワンパターン。

アニメ的なキャラクターや世界観やお笑いネタを取り外した世界で剥き出しになる、
リアル寄りのデザインの女子校生キャラに漂う女の子の質感や、
特定の何か(他の百合作品では男性を貶す描写が多い)を貶すことのない
なもり氏独特の優しい世界観を、堪能出来ます。

個人的には『大室家』より好みです。






*[アニメ]「みにゆり」も面白い

第1話 京子の願望が具現化された話
https://youtu.be/7yJIiLU9rmc


「みにゆり」第2話 驚愕の展開
https://youtu.be/dIzBLUJS5C8


この方式で、残りの原作を全て消化するのも、ありだと思います。
作画は崩れないし、乳首券を発行する意味も無いので、
下手にリアル体型でやるより、これでいいのでは。






*[アニメ]音質が素晴らしい「ゆるゆり、てんやわんや☆ / リピってチャイム♪」


先ずは、音質が素晴らしい。
今回は何故か、プロデューサー陣を差し置いて、
マスタリングエンジニアの多田氏がトップクレジットに表示されていますが、
それも納得の出来栄えです。
CDの限界を極めた音色配置は、長年慣れ親しんだ
ゆるゆりの音色だからこそ可能だったのかもしれません。

ポニーキャニオンの楽曲の音質も、作品によってバラつきは大きく、
私の聴いた範囲で述べると、
一番良くなかったのは『あいうら』。
逆に一番良かったのは『あっちこっち』。

直近のプロジェクト『Re:ステージ!』の作品の大部分の音質が潰れ気味なので、
やや不安でしたが、流石にゆるゆりは外さない。



曲自体は、「いつもの」と言えば出て来るような代物で、
新しさは無いが、完成度は高い。

アイネクライネナハトムジークのイントロ」や「下校のチャイム」といった、
著作権フリーの曲からの引用は個人的にはあまり良いとは思いませんが、
そういう「他所からの寄せ集めで作られるポピュラーさ」は、
OVAのシリーズ構成であるタカヒロ氏の作風に通じるのかもしれません。



ごらく部の4重ボーカルは、純粋に音楽的には一流とは言いにくい。
中低音担当の津田さん以外は全員同じような音域で、
殆どの曲で(飛び道具として有効な)大久保さんの声が目立っています。

が、このユニットには他には無い、音楽的な技術の枠を超えた圧倒的な力がある。
だからこそ不世出のユニットとして輝き、真似をしようとした各社が皆失敗した。
一つの時代の終わりに際して、ごらく部を体感する機会を得られたことは幸運だったと思う。



ゆるゆり、てんやわんや☆

印象的な音色は、裏拍でしっかり鳴ってテンポを作っているカットギターとハイハット
特にクリアで綺麗なハイハットが、サビでもペースメーカーになっているので、
ベースがリズムを刻んでいなくても問題が出ない。

イイジマケン氏は常に生ドラムを使用されていますが、
派手な叩き方は無く、堅実なパターンで作られています。
特に「大事件」でも印象的だったスネアの切れ味が良い。
 
完成度の高い間奏のギターソロは、音色ともども、
往年のビッグ・カントリーを髣髴とさせます。
また、完全では無いものの、氏の過去の曲にありがちだった
「同じフレーズを繰り返し過ぎて展開がもたつく現象」が、ある程度解消されていました。



②リピってチャイム♪

こちらで印象的な音色は、冒頭のベルとコーラス。
ごらく部のコーラスがこれほど綺麗に響いているのは、初めてではないでしょうか。

対照的に、Funta7氏の楽曲のドラムパートは、
打ち込みによるドラムマシンの音が主体。
また、氏の作るベースラインの多くにはオクターブ奏法が使われていて、
今回も例外では無いようです。
この方式は、音程を上げ過ぎると前後の量感がバラついて貧相に聴こえる、
という欠点がありますが、
今回はそうしたことが無く、バランス良く仕上がっています。


両楽曲とも、ゆるゆり特有のサビのブースト感、ドライブ感が非常に気持ちいい。
これがあるからライブが止められない。
会場で聴くと病み付きになる……かといって、ライブ専用では無く、
純粋にリスニング用としても一流の曲デザインになっています。
音質も含めたトータルバランスでは、今回が最高かもしれません。


甲乙付け難い両曲で差が付いたのは、間奏です。
②はチャイムだけで間奏の部分を埋めてしまっているので、手抜き感があるのに対し、
①は熱くてエモくて尊いギターソロが作り込まれている。

結論としては、今回の楽曲対決も、イイジマ氏に軍配が上がったと思いました。