Wii Sportsに敗れたゼルダが示す「マニア向けゲームの限界」

今週の売り上げランキングは、もっさりポケモンが1位に返り咲いて、
ニューマリオが再浮上、Wii Sportsもランクインして、殆ど任天堂一色です。

が、あのゲームが見当たりません。

ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス
任天堂が膨大な資源を投入して作った超大作「リアルゼルダ」は、早くもトップ30のランク外に消えました。


※欧米ではゼルダは好調ですが、これは、欧米が日本市場より「遅れている」ことが原因です。
(但し、既に欧米でも、日本のような変革が始まっている)


>トワプリ以外は、ハードがある程度売れてからの発売だっつうの。

本体が品薄であることを言い訳にしているマニアの方もいるようですが、
そうした意見は、完全な誤りです。

・立ち上げ時のソフトには「ローンチ需要」があるので、通常時より多く売れる。
・立ち上げ時にゲーム機を買う人は、コアな支持者が多く、同じコア層の支持が強いゼルダにとって有利。

ましてゼルダは、任天堂Wiiと同時発売させる為に一年延期までして投入した、
喩えれば「スライド登板した20勝投手」であること。
年内100万台出荷予定のWiiを牽引して、100万本売れるために、同時発売された作品です。
少なくとも、私はそうなると考えていました。


が、ゼルダWii Sportsに敗れた。それどころか、現在消化率5割強。ミリオンは、遥かに遠い。
これは何を示すのか。



ゲームを少し進めて、今回ゼルダがコケた理由が、何となく分かってきたような気がしました。
Fate等に似た腐臭が出ていたのです。


例えば、中二病RPGや最近のエロゲーに飼い慣らされた一部のマニアには受けが良いタイプの
罵倒系キャラ「ミドナ」は、一般的な感性から見れば、ただ不愉快なだけです。

また、狼を操作する部分は、ミドナに見下される不快感を伴う上に、
ゲーム部分も、人間の時に比べて爽快感に欠け、面白くない。

私は、まだ途中ですが、
ゲーム中に他者に馬乗りにされ、罵倒や溜息を聞かされ続けるリアルゼルダには、うんざりして来ました。


その点、Wiiスポーツは単純明快で、常に自分が「主人公」になれます。
毎日少しだけでも、電源を入れるのが、楽しみになります。


恐らくゼルダも昔は、主人公が徹頭徹尾颯爽と描かれ、男は強く女は弱く描かれていたのでしょうが、
トワプリのテキストには、戦後人権思想から来る女尊男卑的な内容が入っています。
(こうした悪思想の影響がコンテンツの形で深刻化してきたのは、主に'90年代以降です)

リンクを含め、大部分の男性キャラが情けなく描かれていることと対照的に、
女キャラは概ね生意気に描かれ、シナリオ細部の美味しい部分が、女キャラに与えられている。
本来、女がおろおろして、男性を毅然として描くべきとところを、逆に描いてしまっている。

こうした、主人公や男性キャラが虐げられる中二病的作風は、
一部のマゾ化したマニア層の支持は得られますが、それ以外の一般層への支持は広がりません。

25年前の黎明期に戻って、正しい性差に基く健全な内容のシナリオを回復出来ない限り、
全ての「大作」ゲームは、存在価値そのものが弱まって、
岩田式手抜き路線(タッチジェネレーション)のシェアが、更に拡大するでしょう。
これは、短期的にはともかく、中長期的には、決して良いことでは無いのです。



蛇足ながら、古いタイプのゲームであるニューマリオが好調な理由には、
・ゲームシナリオが単純なため、正しい性差が守られていること(マリオは強く、ピーチは弱く)
セーブポイントを設けて短く区切るなど、忙しい現代人に向けた配慮がされていること
といったこともあるでしょう。



ここで、「TVゲームとは何か」について簡単に述べると、
「プレイヤーの操作(入力)に反応して、異なる結果を出力する、娯楽用の電子計算機」となります。

この「異なる結果」を大雑把に言えば、
プレイヤーが悪い操作をすれば、悪い結果(ゲームオーバー)となり、良い操作をすれば、「良い結果」になる。

最近のゲームには、この「良い結果」への配慮が欠けている物が多い。
「良い結果」とは、ハッピーエンド等の、プレイヤーに対する「ご褒美」です。
上手く操作してクリアしても、罵倒の言葉や「出来て当たり前」等という、
冷めた反応しか返って来ないゲームでは、楽しいと思う人は少ないでしょう。
プレイヤーに対しては、常に、最大級の賞賛や、快適な物語展開などの「心遣い」が必要です。

人間は、賞賛されて、褒め称えられてこそ、やる気を出すものです。



この「褒め方」の上手いゲームの1つに、「脳トレ」があります。

脳トレ」の「褒め方」は、頑張ったプレイヤーに対して、「あなたは若返った」と言うものです。
特に年配の方には、効き目があるでしょう。
脳科学の権威である川島隆太教授の名前を使った、最大級の賞賛と言えます。

実は、計算や書き取りが脳に与える影響の真偽は、未だ確定してはいませんが、
人間、何かに励んで褒められたら、すっきりと気分が良くなるものなので、
「学習療法」の真偽に関係無く、「達成感」と「褒め言葉」は、良い薬になる筈です。
ですから、ゲーム中に出てくるキャラクターは、川島教授本人「だけ」でなければならない。

他の作品では、知育ゲームの中に女キャラを出してみたり、
ボタンによる4択式といったものもありますが、
それらは全て、勘違いの産物に過ぎません。



とりとめも無い考察になりましたが、ではゼルダの苦戦は任天堂にとってどうなのか、と言えば、
岩田式ブルーオーシャン戦略が成功を収めていることの現れなので、実は良い事と言えます。

いつか知育が飽きられてアタリショックが来たら、或いは飽きられる前に、
また新しいアイデアや切り口を考えれば良いだけです。
結局、余暇産業とは、そうした行為の繰り返しなのですから。