『ログ・ホライズン』が見せた「橙乃ままれ」氏の才能

私は元々萌え作品よりファンタジーが専門に近いです。
散々な状態の今期、一番出来の良い作品は、NHK+MF枠の『ログホラ』で間違い無いでしょう。


前作『まおゆう魔王勇者』は残念な結果に終わってしまったものの、
その世界の描写やストーリー展開、軍勢やキャラクターの動きなどの各要素には光る物がありました。

今作は、パーティープレイとファンタジーMMOの世界観が、かなりぬるめにアレンジされ描かれています。
大多数を占める、ドラクエプレイヤーなどのライトオタクに向けた内容として最適。
システム等の説明が多いのが玉に瑕。


MMOにおけるプレーヤー同士の対戦要素は、最終的にギルドウォーに進化する。
それはあくまでゲームシステムに乗っ取ったものだが、実際の戦争と同じく、
指揮官や作戦に合わせて組織的に軍団が動く。裏で暗躍する人もいる。

凡作の場合は、御都合主義的な特殊スキルのゴリ押しや、
せいぜい、数名のパーティー同士の「個人戦闘」止まりです。

本作は、支援魔法に特化した魔術師を中心に据えていることで、
パーティープレイの必然性を際立たせている。
主人公を敢えてサポートと参謀役に特化させた思い切りの良さは、
オフラインRPGの様式に陥りがちなファンタジー物を、戦略級SLGの次元に押し上げた。


また、橙乃氏の作品は、基本的に、ファンタジー物の王道モチーフである
「中世から近世への流れ」が手癖で綴られています。
今回は、生産スキルと経済にスポットを当てている所も良い。

MMOのほぼ全てが、良いところも悪いところも含め、
エンターテイメントとして「ぬるめ」にアレンジしつつ、良く消化されている。
ファンタジー世界の構築や質感は、この分野の作品中一番でしょう。



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