Gravity/Matt Bianco

最近店頭で見つけたCDのライナーノーツで今更、
Mark Fisherが亡くなっていたことを知る(2016.12.12、57歳)。


MB以外でのFisherの仕事と言えば、Workshyのプロデュースが印象的だった。

Love Is the Place to Be
https://www.youtube.com/watch?v=NY_xnsiAdlE
1st Album「The Golden Mile」では「I Saw The Light」のカバーを含む5曲をプロデュース。

Trouble Mind
https://www.youtube.com/watch?v=WJspN62HHAs
2nd Album「Ocean」以降しばらくの間、Workshyは日本のポニーキャニオンに所属していた。

Workshy - Dream Street
https://www.youtube.com/watch?v=Zyh02qF-ng8
Fisherのシーケンスは非常にシステマティックに組まれていて、Workshyの緩さを上手く纏めている。


Fisherの作り出すリズムセクションは、ポップソングとして最高のものだった。
私にとってFisherのMBは、洋楽というジャンルそのものの終着点だった、とさえ言える。

80年代の代表的グループであるMBのキャリアのピークは90年代だった。
日本のビクターに所属していた時期が最盛期で、リズム音楽の頂点を極めた名作を多数残した。
過去の楽曲は、再アレンジされる度に質を高めていった。



What a Fool Believes on Japanese Car CM
https://www.youtube.com/watch?v=UFBOTJZfb2s
4th Album「Samba In Your Casa」は、大きな転機になった。
それまでのシャカシャカした軽さから一点、重厚かつ男性的な力強いラテンビートを確立した。

Matt Bianco You're the Rhythm (Brazil)
https://www.youtube.com/watch?v=xc2KCbTwngQ

Lady Of My Mind
https://www.youtube.com/watch?v=PP_mpMXHLY4
彼らはバラードにおいても卓越した作品を幾つか残している。



A Day In Your Life
https://www.youtube.com/watch?v=tqOyfEq2g98
6th Album「Gran Via」は、前作から一転してロサンゼルスの風を感じる都会的な灰色に統一された。

Lost Souls
https://www.youtube.com/watch?v=Ff3RzkymejQ
高速で繰り出されるセンス溢れるキーボードやブラス等は、ある意味教科書的な作りでもある。



Boogie Mi Vista
https://www.youtube.com/watch?v=O8ePe5t78o4
日本テレビスーパージョッキーに出演した時に演奏した曲。



Cha Cha Cuba
https://www.youtube.com/watch?v=EKBD0N2-nzQ
当時、旅客機の中でも流されていたスルメ曲。8th Album「Rico」所収。






LIVE AT THE BLUE NOTE OSAKA 2006 (COMPLETE SHOW)
https://www.youtube.com/watch?v=CoUdV1c-SLA

Baloise Session 2014
https://www.youtube.com/watch?v=0sUF0t6PlSQ
終盤の「Lost In You」のソロパートは圧巻。
キーボードは打楽器である、という、単純な真実を思い起こさせられる。






Out Of My Mind
全盛期最後の9th Album「Echoes」の最後の曲。
陰影を帯びたやるせないビートが終わりの無い螺旋階段を上がっていく。

echoes
https://www.amazon.co.jp//dp/B074M4M65H/



You Make My World Go Round
スパニッシュカラー全開の7th Album「World Go Round」は2つのバージョンが発売された。
表題曲はその両方に存在する中核的な存在。
溢れる異国情緒の中に「切なさ」や「やるせない開放感」を内包している。

World Go Round
https://www.amazon.co.jp//dp/B074M8LY1Q/



Good Times
この曲には大別して3バージョンが存在する。
マイアミサウンドユーロビートの融合したクラブミュージックとして生まれ
1996年のJVC版ではサックスが前面に出て若干エッジが消えてしまったが、
2010年バージョンではエレピが前面に戻った、より聞きやすいアレンジが施されている。

Good Times(1988)
https://www.youtube.com/watch?v=Yd6nK5jcFhQ

Good Times(1988) Long Version
https://www.youtube.com/watch?v=hycSHaTiFrk



Your Destiny
ポップソングの粋を極めたカラフルな5th Album「Another Time, Another Place」の中核を成す曲。
力強い歌詞とセンスの良いフレーズが、精密に組まれたシーケンスに乗って淀み無く流れて行く。
ステマティックな都市型ラテン音楽という彼らのスタイルのひとつの頂点、完成形である。
https://www.youtube.com/watch?v=ZPCyrnQYTJ0



Dancing In The Street
この「売れなかった名曲」にも、大別して3つのバージョンがある。
最初のweaバージョンは80年代を象徴する明るさを持っていて、ボサノバ特有のシャカシャカ感が強い。
1996年のJVCバージョンは、ソロパートがジャズギターに差し変わり落ち着いたトーンになった。
2010年の最終バージョンは、音質のバランスが最も良く、シーケンスの完成度も高い。
特に間奏部分のディレイのかかったエレピのソロは、ここでしか聴けない絶品。
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A006734/VICP-41435.html

Dancing In The Street(1986)
https://www.youtube.com/watch?v=yovyRHOIYjc

Sunshine Days(2010)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0783GTNYD/






アルバムジャケットに独りで映っているMark Reillyは、大人になっていた。
悪く言えば、ただの人になっていた。そう感じた。