『ゆゆ式』は、箱庭動物園の完成形だった。

「『ゆゆ式』は言葉にならない、でもじわじわくる」(中編)
http://anifav.com/special/20130914_1983.html


日常系、美少女動物園という分野のアニメは、
「90年代のギャルゲー」及び「2000年代のエロゲー」の延長線上にある進化系です。

「プレイヤー=視聴者=主人公」としての男性を「神の視点・位置」に置くことによって、
様々な不快な要素、及び、コンテンツの劣化要素を極力排除して、
快適に、かつ長持ちするように設計されています。

それを製作側が、単なる「百合」「ギャグ」などと解釈して勘違いする、
あるいは変な拘りを持ち続けることによって失敗した作品は数知れません。
例えば、TVアニメ『ゆるゆり』の京子の言動に違和感を覚えた人が多かった原因は、
この点にあると思われます。


もちろん、このスタイルを取ったから必ず売れる、という訳では無く、
他の様々な要素で人気度は上下します。

ゆゆ式」は、思ったよりも、意外に売れました。
が、「他の一線級の箱庭」に比べると、足りない部分が多いことも確かです。

同じ芳文社の原作でも、例えば『きんいろモザイク』は、
人物描写としては『ゆゆ式』より底が浅く「他人に近い、どこかよそよそしい集団」になっています。
内輪と外との使い分け、箱庭の中と外の違いまでは表現していない。



80年代 ラブコメ漫画        キャラゲー(一般ゲームの中の萌えキャラ含む)
        ↓              ↓
90年代 少女漫画系アニメ    ギャルゲー
        ↓              ↓
00年代 美少女アニメ―――――エロゲー(実験的市場)
        ↓       ↓      ↓
        ↓   ハーレムアニメ  ↓
        ↓       ↓      ↓
00後半  美少女動物園系コンテンツに統合(設定が軽く、二次創作の自由度が高いものほど人気が出る)
けいおん!(2009年)/東方シリーズ/初音ミク(2007年)



エロゲーやハーレムアニメでは、どれほど最大公約数を取ったとしても、、
全てのタイプの男性客に合わせて調整した男性主人公を作ることは出来ません。
そこで「動物園」では、顧客としての男性を「神の視座」に移動させ、
異性キャラ達を鑑賞しつつ、何時でも取って食えるような状態にしておくようになった。
この経緯を理解していないクリエイターは、失敗しやすい。