保守の虚偽――「八紘一宇」は、世界平和の思想では無い。


「八紘一宇」は、単に、日本国内の統一を表した言葉です。

田中智学による地球市民的なデタラメな解釈が、「お人よし」の日本国民に広まって、
戦前戦中に更に曲解され、侵略の正当化に利用されました。



神武天皇は日本を建国する時、「日本をひとつの家族のようにしよう」と言いました。

これを、明治〜大正期に、「八紘一宇は世界平和のことだ」などとデタラメな解釈をしたのが、
日蓮信者の田中智学です。

一万年以上島国に住んでいる日本の国民は、今も昔も「お人好しでお花畑な人」が多いので、
田中のデタラメを信じる人は増えて行きました。

そして、昭和に入ってから、天皇制度による世界支配の正当化へと変質していった。
侵略の正当化に悪用されたのです。


この結果、未だに多くの人が、「八紘一宇=世界平和」というデタラメを信じ続けています。



新田均教授のブログ
http://nittablog.exblog.jp/7049042



この伝言ゲームの大体の流れは、以下のような感じです。


井上哲次郎教育勅語の「中外」を「全世界」と誤解釈)

田中智学(「全世界の地球市民化」という意味の造語「八紘一宇」を捏造)

加藤玄智(「天皇教」「国家神道」といった、後世反日に利用される単語を捏造)

D.C.ホルトム(加藤の説を鵜呑みにして海外で広める)

GHQの神道指令(天皇神道を目の敵にして潰そうとした)



今回、『「現人神」「国家神道」という幻想』(新田均著)を、途中まで再読しましたが、
以前は全く難解で読めなかったものが、今回はするすると読めるようになりました。



https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E7%B4%98%E4%B8%80%E5%AE%87
>例えば晋書では晋の武帝司馬炎三国志でも有名な呉・蜀を滅ぼし
>中国全土を統一したことを「八紘同軌」[2]といっている。

「八紘」の意味は、「全世界」では無く、「ひとつの国の国内」を意味する言葉です。
田中智学はデタラメな解釈をしていました。


http://www.sankei.com/politics/news/151028/plt1510280013-n1.html
>確かに戦中の一時期、戦意高揚のスローガンに流用されたことはあった。
>だが、もともとは神武天皇による建国の理念・理想を表現した言葉だ。

これは正しいですが、

>都市計画課の森山福一課長は「八紘一宇は世界平和を祈念する理念であり、
>戦争とは無関係である。

これは間違っています。
田中智学が、神武天皇の言葉としての「八紘一宇」を流用してしまった以上、
「全世界を天皇制度で支配する侵略思想だ」と曲解されるのは当然のことです。
迂闊な気持ちで作った造語が、後世に大変な害を及ぼしたのです。



佐藤雉鳴氏のサイトより

http://www.zb.em-net.ne.jp/~pheasants/kigisu.htm

>「之を中外に施して悖らず」の「中外」は「国の内外」ではない。
>この「中外」は「全国(民)」である。

http://www.zb.em-net.ne.jp/~pheasants/kyouikuc.htm

「中外」

>「中外」は『管子』に「中外不通」と用いられている。
>「後宮」の女性と「外朝」の男性が交われば宮廷の秩序が乱れることから、
>それを禁止する意味で「中外普通」とされたのである。

>また「宮廷の内と外」のほかに、「中央と地方」
>そして「朝廷と民間」の意味がある。


「八紘一宇

>これはある種の超国家主義的思想と
>教育勅語「中外」の誤った解釈が重なって出来た、
>田中智学独特のイデオロギーと考えるのが正しいのではないか。

>「八紘一宇」は明治30年代に田中智学が造語したとされているが、
>その時期が明治24年の『勅語衍義』以後であり、
>さらに日清戦争以後であることは偶然ではないだろう。


「八紘一宇」という造語は、教育勅語の「中外」の誤解釈が元となって作られました。
「中外」は、国の内外ではなく、宮廷の内と外のことです。