曲とキャストだけは良かった「ガーリッシュ ナンバー」

「売れそうに無いアニメ、何で作るんだろうね」「キャストと曲は良かった」など、
作品内の台詞が全てブーメランになって直撃した奇跡のアニメプロジェクト。
爆死を遂げましたが、他には無い、捨て難い魅力もありました。

実のところ、イベントまで行った理由は、
「ボーカル曲が気に入ったから」というのが、ほぼ全てです。



各曲に共通した特徴は、

「マスタリングが優秀で、非常に音が良い」
「曲調が途中で変化する曲が多い」
「無音部分の使い方が上手い」
「ブラスの使い方が巧い」

「大体の曲で、ギターソロなど間奏をきっちり仕上げている。
締め切りに追われたやっつけ仕事、という印象が無い」
「曲の最後を割とあっさり唐突に締める」

……といったところです。





「Bloom」
春の訪れを感じさせる華やかな曲。唯一の欠点は、秋アニメに使われたこと。
飛び道具のシンセ音がさり気ない。冒頭のサビが、2回目3回目で綺麗に変化をつけている。


「決意のダイヤ」
ありがちだが出来は良い。音質含めてほぼ完璧。



「今は短し夢見よ乙女」
冒頭の337拍子でややもたつくが、これがないと曲が成り立たないようにも思える。
最後にジャズの4ビートも出て来る。


「虹色Sunrise」
疾走感のあるポップな曲。感動的なライブの場面で流れて来る。
作中作のラノベ系ファンタジーアニメには、良く合っている。



「いただき☆ハイテンション」
ありがちな夏の曲。
高速で鳴るタンバリンが作るグルーヴ感に、諸行無常の歌詞が乗っている。
コーラスや掛け声がとても綺麗で、
「イェイ イェイ」「fun fun fun」「oh oh」「キュンキュン☆キュンキュン」など、
本作の中では、コールが決まったら一番面白い曲。



「SSS」
ラップの入ったエレクトロ。



「明日への途中で」
最終話Bパートで使われた曲。
フィナーレに相応しいパワーとスピードと広がりを持っている。、
こんなに感動的で素晴らしい曲が埋もれて消えることは、本当に残念だ。
コード進行、節の取り方、飛び道具やコーラスの入れ方、全てが完璧。
ギターソロに至るまで遊びが無く、非常にストイックに丁寧に仕上げられている。
敢えて言えば、このアニメの曲としては、真面目過ぎる気もする。


「Checkあ」
オマケ的なコミカルな曲だが、BPMや曲調の変化も綺麗に決まっていて、
品質は高い。






「キャラクターソング・ミニアルバム Growing!」

春をイメージしたソロ楽曲集。


「Baby Sweet Gi(a)rl」
往年の'70年代ソウル・ファンク、渋谷系ガリナン的解釈。
春よりも初夏から夏に向いた、アタックの強い曲。
ボーカルも含め音圧はやや強めだが、
最後の「勝ったな!ガハハ!」は、やや弱めだった。


「はわわspring」
聞きやすいエレクトロ。鳴り続けているギターが印象的。
やや単調ながら緻密に作られているが、間奏は無い。


「川沿いの桜」
ハイスピードなロックに田舎風の歌詞。


「Last Blue」
印象的な和風のメロディーが、舞い散る桜を思わせる。
サビから間奏にかけての展開に広がりがある。
侘び寂びを満載した歌詞は、一句一句が心に突き刺さる名言集なので、
一人でも多くの人に見て欲しい。
ひとことで言えば「声優哀歌」。


「キミは嵐」
線の細い立ち上がり、ホーンセクションが躍り出て花が開くようにパッと広がるサビの展開、
繰り返しの微妙なコード変化、ピアノとサイン波で駆け下ってゆく間奏……
流れるように変化する万華鏡のような作風は、
現役女子校生でありながら芸暦が一番長く、母親も声優という特殊な立場である百花の
強さと弱さを表わしているかのようだ。


「イッツオーライ!」
前半スカになるが、サビで元に戻る。


「Growing!」
グランドフィナーレ風の曲。昭和歌謡ショーのガリナン的再解釈。
最後にバラードが来ると思っていたから意外だった。
賑やかだが、ギターのトレモロが物悲しく響く。