『日本の心に目覚める五つの話』(松浦光修著)


簡単で面白い本なので、是非ご一読して頂ければと思います。


http://ameblo.jp/meiseisha/entry-10498038901.html
http://www.meiseisha.com/katarogu/nihonnokokoro/itutuno-hanashi.htm

http://www.amazon.co.jp/dp/494421992X

日本の心に目覚める五つの話

日本の心に目覚める五つの話

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講演録を元にした「民族の記憶」と「運動指南」の書


地方在住の松浦教授は講演を数多くこなしているが、それ以上に依頼が多く、
止む無く断ることもあるという。

本書は、そうした講演録の中から、ある一定のテーマに沿った素材が採り上げられ、
肉付けをして並べられている。保守の入門書としても、お勧め出来る。


第一話は、中高生を対象に行われたセミナーが元になっており、
保守思想の基礎が、限り無く平易な文章で述べられている。
(それ故、文体がやや砕け気味で、読書家には物足りないかもしれない)

第二話は、神武天皇を巡り反日日本人と戦った、
また荒廃した神武天皇陵の再建に尽力した人々について。

第三話は、足利一族と刺し違え絶滅するまで戦った楠正成の一族と、
七生報国」という言葉の真の意味、その楠公精神を受け継いだ人々について。

第四話は、幕末外国の侵略に直面し、独立の為に命懸けで戦った孝明天皇吉田松陰
およびその志を受け継いだ人々について。

第五話は、「五箇条の御誓文」の意義と、その成立に関わった人々について。


第二話以降では主に、歴史上の人々にスポットを当て、
「先人達はどう戦ってきたか、また、今を生きる我々はどう戦うべきか」
といった「心構え」について述べられている。
(人頼みにせず「今、自分には何が出来るのか」を考え実行すること、
「自分が……自分が……」等と「自分の功」に拘らない、
自分の人生で実現出来ないようならば、次の世代に志を継ぐ……など)


神武創建に始まる先人達の戦いは、
終わりの無いドラマのように次々と後の世代に受け継がれ、
最終的に明治維新に収束し、再び神武創建に立ち返る。
明治維新の本質について、本文から一部抜粋させて頂く。

天皇の“神々への祈り”と、その御前での君臣ともにする“神々への誓い”……、
そして、それを機として古い時代を打破し、新たな時代へと乗り出していくこと……。それは、
すべてを「ゼロ」にして、別の原理にもとづく別の国を作ろうとすることとは、全然違います。
それは、歪んだ“国の姿”を本来の正しい姿に戻すことであり、原点に回帰することに他なりません。
日本においては、それが、新しい時代を切り開くことと、いつもイコールなのです』(340頁)

明治維新に代表される「日本的革新」とは、
「ゼロ・ベース」の「革命」では無く、原点回帰して「一から出直す」ことである。
その為には、(戦後の日本で禁忌とされている)
『気化しつつある民族の「大切な記憶」を慈雨と化して、私たちの心の内に降り注がせること』
(国民に浸透すること)が必要という。
本書にはその「大切な記憶」の一部が、平易な言葉で凝縮されている。

最近、明治維新や志士等について、軽々しく引用する人が後を絶たないが、
先ずは本書を一読し、その本来の意味を知って「一から出直す」ことをお勧めしたい。